グラフィックボード(GPU)の違いと選び方について解説していきます。
グラフィックボードはPCのゲーミング性能に最も直結するパーツで、グラフィックボードの性能でPCスペックが格付けされます。
ここではスペックやメーカーによるグラフィックボードの違いや、選ぶ際のポイントを紹介します。
グラフィックボードを価格で選ぶ
価格目安 | スペック | グラフィックボード |
---|---|---|
3万円以下 | エントリー(ロースペック) | GeForce GTX 1660 SUPER GeForce GTX 1650 |
5~7万円 | ミドルスペック | GeForce RTX 3070 GeForce RTX 3060 Ti GeForce RTX 2070 SUPER GeForce RTX 2060 SUPER |
8万円以上 | ハイエンド | GeForce RTX 3090 GeForce RTX 3080 |
グラフィックボードは価格に高いほどスペックも上がります。
最もコスパに優れるのはミドルスペックで、次いでエントリークラスです。
ハイエンドはスペックを追求しているので、コスパや消費電力が悪くなりがちです。
安いゲーミングPCを求めるなら、最もおすすめのグラフィックボードは「GeForce GTX 1660 SUPER」を搭載したモデルです。
コスパバランスを重視するなら「GeForce RTX 3070」や「GeForce RTX 3060 Ti」がおすすめです。
最新世代のグラフィックボードはスペックはもちろん、消費電力の低減もされているので、旧世代の同スペック品と比べ維持費も安くなります。
4KやWQHDでのゲームプレイ、MODの導入では高価なハイエンドグラフィックボードがおすすめです。
ハイエンドのスペックは「GeForce RTX 3080」で十分ですが、グラフィック系MODを追求される方やSLI接続による複数搭載をする場合は「GeForce RTX 3090」しか選択肢はないでしょう。
グラフィックボードの価格はメーカーによっても異なりますが、コスパを重視するなら「Palit」のグラフィックボードがおすすめです。
グラフィックボードを性能(スペック)で選ぶ
グラフィックボードのスペックに応じて、そのPCでできることが大きく変わります。
エントリークラス(ロースペック)
ロースペックのグラフィックボードでも、ほとんどのPCが快適にプレイできます。
一人プレイ用のRPGやFF14やDQ10などのMMORPGが問題なくプレイできます。
一部高解像度のゲームは画質設定を落とすことで対応できます。
PUBGやフォートナイトといったFPSゲームもプレイできますが、高画質かつ高フレームレートの維持は難しいので、他プレイヤーにPCスペックによって負けてしまう場合があります。
また動画配信・録画・編集などもスペックが不足します。
ミドルスペック
ミドルスペックは最もバランスの良いスペックで、ミドルスペックのグラフィックボードで困るシチュエーションはほぼないでしょう。
高解像度のゲームを高フレームレートを維持しながらプレイすることも可能です。
一部FPSゲームでは設定を落とす必要があるものの、eスポーツへの参入や動画配信・録画・編集も対応できます。
ある程度MODの導入にも対応できますが、Cities:Skylineのようなハイエンドスペックが必要なMODが多数存在するゲームでは、導入するMODによってスペックが不足する場合もあるでしょう。
ハイエンド
ハイエンドは最上位のグラフィックボードで、できないことはありません。
特に最新のRTX 3080やRTX 3090は他モデルと比較にならないほど高いグラフィック性能を備えています。
FPSゲームを最高画質かつ高フレームレートでプレイすることはもちろん、CADや機械学習にも対応できます。
ハイエンドグラフィックボードは特にゲーム配信者やMOD多重使用者におすすめです。
高解像度でゲームをプレイしながら同時に配信することや、シミュレーションゲームによる高解像度テクスチャをはじめ多数のMODを併用することが可能です。
グラフィックボード選びで注意すること
グラフィックボードの選び方
- 出力端子:接続先モニターに対応していること
- 冷却方式:GPUのスペックに応じた冷却性能が備わっているか
- サイズ:ケースにそのGPUが格納できるか
- 消費電力:電源容量は不足しないか
- SLI接続:複数搭載するならSLI対応しているか
グラフィックボードを選ぶ際は以上の5つに注意しましょう。
自分が持っている、または購入する予定のモニターに対応したものを選びましょう。
モニター出力は「DisplayPort」が最も出力性能が高くおすすめです。
グラフィックボードの冷却方式は「内排気」「外排気」「水冷」の三種類です。
最も冷却効率が良いのは「水冷式」ですが、グラフィックボードの水冷化はサイコムなど一部メーカーでのみ行われており、その他BTOメーカーで購入することができません。
BTOメーカーでゲーミングPCを購入する際は、静音GPUファンが搭載されているモデルがおすすめです。
GPUファンは大型になるほど冷却性能が高まりますが、その分動作音も大きくなるためです。
グラフィックボードの交換・増設や自作をする際は「十分にグラフィックボードが冷却されるか」を気を付けましょう。
サイズはBTOパソコン購入時は関係ありませんが、グラフィックボードの交換・増設・自作の際は注意しましょう。
ミニタワーケースなど小型ケースでは、通常サイズのグラフィックボードが入らず搭載できない場合があります。
必ず使用するケースに収納できるかサイズを確認しましょう。
消費電力もBTOパソコン購入時は関係なく、交換・増設・自作の際に注意するものです。
グラフィックボードはモデルによって必要な消費電力が異なります。
エントリークラスからハイエンドのGPUに交換した際など、上位モデルへの交換は電力不足が起きやすいです。
必ず交換するグラフィックボードでも電源容量が不足しないか確認し、不足する場合は電源ユニットを交換する必要があります。
グラフィックボードの複数搭載は、SLI接続対応モデルでしか不可能です。
- GeForce RTX 2080 SUPER
- GeForce RTX 2080 Ti
- GeForce RTX 3090
以上がSLI対応したグラフィックボードです。
SLI接続によるグラフィックボード複数搭載ではグラフィック性能は単純に倍になりますが、消費電力も倍になるので注意しましょう。
グラフィックボードのメーカーと特徴
GPUは「NVIDIA」や「AMD」が親メーカーとして販売しています。
2メーカーが販売するGPUを元に各パーツメーカーが改良や最適化を行い、一般ユーザー向けに販売します。
パーツメーカーから販売されるグラフィックボードは元のGPUは同じですが、メーカー毎の特徴により性能にも差があります。
ASUS(エイスース・アスース)
ASUSのグラフィックボードは高品質のものが多く、安定した動作が期待できます。
OC可能で、コアクロック数が高めに設定されているのが特徴です。
品質と性能が高いため、他メーカーと比べると値段が高いです。
MSI(エムエスアイ)
静音性や冷却性能を求めるならMSIがおすすめです。
「TwinFrozr」という独自のシステムを採用しているので、高い静音性・冷却性を持っています。
赤を主体としたデザインで、多くのBTOパソコンメーカーでも採用されます。
Palit(パリット)
安さを求めるならPalitの製品がおすすめ。
Palitのグラフィックボードはドスパラが直接輸入しており、中間手数料がかからず、安く購入することができます。
安いから品質が悪いということもありません。
GIGABYTE(ギガバイト)
GIGABYTEの特徴はコスパの良さです。
「WINDFORCE」という独自の冷却システムを搭載しながら、他メーカーと比べて値段が安いです。
3つファンを搭載した「WINDFORCE 3X」は高い放熱性がありますが、ファンを3つ使用しているためサイズがでかくケースを選びます。
ZOTAC(ゾタック)
ZOTACはNvidia社が提供しているGeForceを専門に扱っています。
小型PC向けの小さいサイズのグラフィックボードを販売しているので、ケースを選ばず小型PCにも使用することができます。
玄人志向(クロウトシコウ)
良質な製品を安価で購入したい方は玄人志向がおすすめです。
安い製品を扱っていますが、高品質な日本メーカーなのでサポート面も安心です。
電源ユニットで玄人志向を採用する人も多く、メーカーを統一するのも良いでしょう。
ELSA(エルザ)
安定性能を重視しているメーカーといえばELSAです。
長期間使用することを想定し、衝撃や埃に強い設計をしています。
長く使い続けたい方におすすめのメーカーです。
サポートも最大3年保証となっており、高い評価を得ています。
グラフィックボードの規格と読み方
GeForce RTX 2070 SUPER 8GBを例とすると
- ブランド名:GeForce
- グレード(等級):RTX
- シリーズ番号:20
- シリーズ内型番:70 SUPER
- ビデオメモリ容量:8GB
シリーズ番号が大きいほど新しい製品であり、シリーズ内型番が大きいほど高性能なものです。
ビデオメモリはモニターに描画するデータを一時的に保存するための場所の容量で、大きいほど描画がスムーズになります。
参考 グラフィックボード(GPU)のメモリとは【性能や容量による違い】
グラフィックボードの選び方まとめ
グラフィックボード(GPU)の違いと選び方について解説しました。
グラフィックボードは価格またはスペックで選ぶことができますが、PCのグラフィック性能に直結するため「そのPCを使って何をするか」が重要です。
特に決まっていないならミドルスペックのグラフィックボードが最もおすすめで、後から後悔することもないでしょう。