
ゲーミングPCにおけるパソコントラブル対処法ガイドです。
「起動しない」「ブルースクリーンが出る」「画面が表示されない」「フリーズしてしまう」「熱暴走を起こす」「ファンの音がうるさい」などが、よくあるトラブルです。
本記事では、これらのゲーミングPCの代表的な症状をわかりやすく整理し、原因と対処法を掘り下げながら解説します。
ゲーミングPCが起動しないときの対処法
電源ボタンを押しても、ゲーミングPCが起動しない場合の対処法です。
「起動しない」原因は複数考えられるので、ここで挙げる対処法を順に試してみてください。
電源ユニット・ケーブル・スイッチの確認
まずは「電源ユニットへの導線」を確認しましょう。
- 電源ケーブルが正しく接続されているか、抜けていないか
- ゲーミングPC背面のスイッチがONになっているか
- PCケース横を開け、ケーブルの抜けが起きていないか
引っ越しや模様替えなど、ゲーミングPCの配置を移動した場合には、ケーブルの抜けやスイッチのON/OFFが起きる可能性があります。
最も基本的なことですが、必ず確認しましょう。
また、接続が問題ない場合でも、電源ケーブルを一度外して挿し直してみてください。
すべて確認し、問題ないが電源が起動しない場合は、電源ユニットの故障の可能性が高いです。
電源ユニットの交換を検討しましょう。
ハードウェア接続不良・帯電・放電処理の確認
電源が入るのに画面が映らない、あるいは一瞬だけファンが回って止まる場合、ハードウェアの接触不良や帯電によるトラブルが考えられます。
特に冬場は静電気が溜まりやすく、マザーボード上の微細な電流エラーを引き起こすことがあります。
一度電源ケーブルを外し、ケース内の電源ボタンを数回押して放電を行うことで、症状が改善するケースもあります。
メモリやグラフィックカードがわずかに浮いているだけでも、起動しないことがあります。
ゲーミングPC本体を移動した後や、内部清掃を行った直後にトラブルが発生した場合は、ケーブルの差し間違いや緩みも視野に入れる必要があります。
なにかの衝撃で外れてしまう可能性も否定できないので、PCケース内の各ハードウェアが適切に設置されているか確認しましょう。
パーツの抜き差しを行う前には、必ず静電気防止手袋を使用しましょう。
人体からの微弱な電流でも、電子基板はダメージを受けることがあります。
BIOS/UEFI設定・ストレージ/メモリの故障疑い
電源も入り、ファンも回るのに画面が出ない、POST画面すら表示されない場合、BIOSやストレージ(SSD/HDD)の設定異常を疑いましょう。
BIOS(もしくはUEFI)は、PC起動時に最初に動作する制御プログラムで、ここに問題があるとOSまでたどり着けません。
最近BIOS設定を変更した覚えがある場合や、ハードウェアを増設した後に不具合が出たなら、一度「CMOSクリア(初期化)」を試してみましょう。
マザーボード上のジャンパピンを短絡させるか、ボタン電池を外して数分待つ方法があります。
ジャンパピンの位置、CMOSクリアの方法は、使用しているマザーボードの説明書を参照ください。
設定がリセットされることで、誤ったブート順序や電圧設定が修正される可能性があります。
また、ストレージやメモリが故障している場合、ビープ音が鳴る・画面が真っ暗のまま止まるなどの症状が現れます。
特にメモリの抜き差しだけで改善するケースは非常に多く、手間をかけずに試す価値があります。
ブルースクリーンが出たときの対処法
ゲーミングPC使用時に、ブルースクリーンが出たときの対処法です。
ブルースクリーンは、ソフトウェア的要因とハードウェア的要因が複雑に絡み合うことが多く、原因はケースバイケースです。
可能性を順番に潰して対処していきましょう。
エラーコード・停止コードを記録しよう
ブルースクリーンには、ほぼ必ずエラーコード(停止コード)が表示されます。
- 「MEMORY_MANAGEMENT」
- 「IRQL_NOT_LESS_OR_EQUAL」
このようなコードが画面に表示されたら、スマホで撮影しましょう。
コードから原因が特定できる可能性があります。
たとえば、ドライバーエラーやメモリ破損が原因の場合、それぞれ固有の停止コードが出ます。
別のデバイス(PCやスマホ、タブレット)が利用できるなら、表示されたエラーコードをそのままWEBで検索することで、具体的な修復手順やトラブルの傾向が確認できます。
Windowsの「イベントビューア」から詳細ログを確認できるため、再発防止にも役立ちます。
グラフィックドライバーとWindowsアップデートのチェック
ゲーミングPCでは、グラフィックドライバーとWindowsの更新がぶつかり合い、ブルースクリーンを引き起こすケースがよくあります。
特にNVIDIAやAMDの新しいドライバーを導入した直後に発生する場合、ドライバーのバージョンを一度戻すことで安定することもあります。
新しいグラフィックドライバーをインストール(アップデート)してからブルースクリーンが表示されるようになった場合は、NVIDIAやAMDの公式サイトから、1つ古いバージョンのドライバをインストール(ダウングレード)すればOKです。
グラフィックドライバーをダウングレードすれば、Windowsとの干渉は解消され、ブルースクリーンは発生しなくなるはずです。
しばらくするとグラフィックドライバー、またはWindowsの更新が入るはずなので、それを待ってから再度グラフィックドライバーをアップデートしましょう。
また、Windowsアップデートによってシステムファイルが置き換えられ、古いドライバーと競合することもあります。
こうしたときは、Display Driver Uninstaller(DDU)などを使って完全削除し、クリーンインストールを行うのがおすすめです。
メモリ・SSD・マザーボードなどハードウェアの検査
ドライバー等のソフト的な対応をしてもブルースクリーンが頻発する場合は、ハードウェアの異常を視野に入れる必要があります。
特にメモリやSSDは、寿命や熱、衝撃で劣化が進むパーツです。
Windowsには「メモリ診断ツール」が標準搭載されており、再起動時に自動検査が可能です。
SSDの場合は「CrystalDiskInfo」などのツールで健康状態を確認しましょう。
「注意」や「異常」と表示された場合は、早めのバックアップが必須です。
また、マザーボードのコンデンサやスロット不良もブルースクリーンの原因になります。
複数パーツが連鎖的に影響することも多いため、1つ1つ診断をして、原因を特定していく必要があります。
ゲーミングPCの画面が映らないときの対処法
ゲーミングPCで電源を入れても、画面が映らないときの対処法です。
電源が入りパソコンは起動しているにも関わらず、画面が表示されない場合は、映像の出力に問題があります。
映像出力に関する対処方法を見ていきましょう。
モニター接続ケーブルと出力端子の確認
ゲーミングPC本体からモニターへのケーブルが正しく接続されているか確認しましょう。
ケーブルの接続ミス、抜けが原因で画面が映らないケースは意外に多く、引っ越しや模様替えでパソコンを移動した際にも生じる可能性があります。
また、ゲーミングPCにはグラフィックボードが搭載されているため、映像出力ケーブルはグラフィックボードの出力端子に接続する必要があり、マザーボードの出力端子に接続しても、画面は映りませんので注意してください。
ケーブルの接続に問題が無ければ、モニターの入力切り替え(Input Source)を確認するだけで映ることもあります。
最後にケーブルの不良の可能性もあります。
特に安価なケーブルや延長アダプタを使っている場合、信号の減衰や端子の接触不良で映らない可能性があるので、ケーブルを別のものに変えたり、別のポートに差し替えたりしてみましょう。
複数のモニターを使っている人は、一度すべてのケーブルを外し、メイン出力だけに絞って起動してみることをおすすめします。
グラフィックボードのスロット接続・固定状態の確認
長期間使用していると、グラフィックボード(GPU)がわずかにスロットから浮くことがあります。
ゲーミングPCの移動や振動、温度変化によって、固定金具が緩むことがあるのです。
グラフィックボードの接続が不安定になると、電源は入るのに映像が出力されない現象が発生します。
ケースを開け、GPUがしっかりとPCIeスロットに差し込まれているか確認してみましょう。
特に補助電源(6pin・8pin)が抜けかけていると、ファンは回っても出力が行われません。
また、マザーボード上の他の拡張カードやケーブルが干渉している場合もあります。
グラフィックボードの接続が原因で映像が出力されない場合、GPUを一度取り外してから、接点をクリーニングして再装着すると改善することが多いです。
BIOS出力設定・内蔵&外部出力切替ミスの可能性
CPUにグラフィック機能が内蔵されているタイプでは、BIOS設定で「どの出力を優先するか」を選べます。
グラフィックボード(GPU)を搭載しているのに、設定が「内蔵出力優先」になっていると、グラフィックボードに出力ケーブルを接続しても、画面が映りません。
ケーブルを正しく接続しているのに画面が映らない場合は、モニター出力ケーブルを一時的にマザーボードの映像出力に接続して、画面が表示されるか試してみてください。
グラフィックボードが正しく接続されているにも関わらず、マザーボードから映像出力がされる場合は、BIOSの設定が原因である可能性が高いです。(GPUが故障、認識されていない可能性もある)
マザーボードのBIOSに入り、「Primary Display」や「Init Display First」などの項目を確認しましょう。
PCIe(外部GPU)を選択することで、正しく出力されるようになります。
また、BIOS更新や設定リセットの後にこの設定が自動的に変更されることもあります。
最近アップデートを行った場合は、出力設定を再確認することをおすすめします。
BIOSの起動方法はマザーボードのメーカーによって異なりますが、PCの電源を入れて「F2」や「Delete」キーを押して起動するものが多いです。PCを起動してメーカーロゴが表示されると、何キーを押してBIOS起動なのか表示が出るはずです。
ゲーミングPCが熱暴走で止まる・落ちるときの対処法
ゲーミングPCを起動させ、一定時間が経過するとカクつく・電源が落ちる・フリーズする・勝手に再起動する場合の対処法です。
これらの症状は、熱暴走が原因である可能性が高いです。
熱暴走が起きる状態で継続使用すると、パーツへダメージを与え、故障の原因になります。
ケース内部の熱処理不良によりCPUやGPUが高温になる
ゲーミングPCのケース内部は、CPUやグラフィックボード(GPU)の温度が100℃付近まで上昇するため、熱がこもらないように流して排熱する構造になっています。
CPUやGPUは高性能であるほど発熱量も多く、冷却が追いつかないと自動的にクロックダウンを起こし、処理速度が落ちてしまいます。
ケース内部の熱が上がりすぎないように、以下の点に注意が必要です。
BTOメーカー品では問題ないと思いますが、自作のゲーミングPCではケース選びに問題があるかもしれません。
CPUやGPUの性能に対して、小さすぎるケースを使用したり、見た目を重視して変わった形状のケースを使用すると、熱処理がうまくできていない可能性があります。
ゲーミングPC本体の設置場所も重要で、吸気口・排熱口は壁から15cm以上離して置くことが推奨されます。
ケーブルの取り回しが密集していると空気の流れが遮断され、冷却効率が低下します。
ケーブルを束ね、吸気と排気の方向を意識するだけでも改善される場合もあります。
使用中のゲーミングPCで、CPUやGPUのの温度をチェックする場合は、「MSI Afterburner」を使用することで、リアルタイムに温度が確認できます。
ケース内を清掃してホコリを除去する
熱暴走のもう一つの大きな要因は「埃」です。
長期間掃除をしていないPCでは、通気口やヒートシンクに埃が堆積し、冷却性能を大幅に落とします。
GPUファンの羽根やCPUクーラーのフィンに埃が絡みつくと、熱が外へ逃げず、内部の熱がこもってしまいます。
また、ケース底部のフィルターや電源ユニット下の吸気口も見落とされがちです。
ここに埃が詰まると、電源温度が上昇し、結果的にシステム全体の安定性を下げてしまいます。
PCケースは共通して横蓋が簡単に開くようになっており、メンテナンスが可能ですから、最低でも年に一度はエアダスターを使って埃を飛ばし清掃を行いましょう。
エアダスターをファンに使用する際は、ファンの羽根を手で軽く押さえ、過回転でモーターを傷めないよう注意しましょう。
ホコリによってパーツがショートし、故障してしまう可能性もありますから、ケース内を定期的に清掃することは、寿命に大きく関わります。
長時間プレイ/設定負荷を減らす・環境改善の視点
どれほど冷却環境を整えても、ゲームの設定が過剰であれば発熱は避けられません。
4K解像度・最高画質・レイトレーシングONといった設定はグラフィックボード(GPU)を常に限界稼働させ、熱暴走のリスクを高めます。
フレームレートを上限設定するだけでも、発熱を大幅に軽減できます。
また、長時間のプレイ中は部屋の温度自体も上昇していくため、扇風機やエアコンで室温を一定に保つことが大切です。
ゲーミングノートPCを使用している場合は、冷却台や外付けファンを活用することで、温度上昇を抑えられます。
「熱が原因で落ちるのは一時的なこと」と軽視されがちですが、内部の電子部品にとっては深刻な負荷です。
熱対策を怠ると、パーツの劣化や寿命短縮に直結しますから、冷却は性能維持のための“投資”と考え、習慣的に意識していきましょう。
ゲーミングPCのファンの音がうるさいときの対処法
ゲーミングPCのファンの音がうるさいと感じたときの対処法です。
ファンはゲーミングPCに高負荷がかかると高回転になりますが、以前まで問題なかったのに突然高回転になった場合は異常が発生している可能性があります。
購入・自作したゲーミングPCを動作させてみたら、思ったよりファンの音がうるさいため、ゲーム音を邪魔してしまう場合は、静音化を検討する必要があるでしょう。
ファンの音が突然大きくなった・ファン回転数が異常
ファンの音が突然大きくなった・ファン回転数が異常
ファンの音が急に大きくなった場合、回転数制御がうまく働いていない可能性があります。
多くのマザーボードやグラフィックボード(GPU)には温度センサーが内蔵されており、これが異常値を検知するとファンが全力で回転します。
温度が下がらない状態が続くなら、センサーエラーや制御ソフトの不具合も疑いましょう。
ファン回転数は「MSI Afterburner」や「SpeedFan」などのツールで確認できます。
CPU温度が60℃未満にもかかわらずファンがフル回転している場合、制御カーブの設定見直しが必要です。
ファンがケーブルに干渉していないか・ホコリが溜まっていないか
ファンが物理的に異音を発している場合、埃やケーブルが干渉している可能性が高いです。
吸気ファンは配線が近い位置に設置されることが多いので、配線がファンの羽根に触れてしまうケースがありますから、確認をして問題がありそうであれば、結束バンドなどで固定しましょう。
また、長期間使用したファンは、ネジの緩みやマウントラバーの劣化により、振動音が発生することもあります。
指で軽く触れてみて音が止まるなら、固定の甘さが原因です。
掃除のついでにチェックするだけでも、静音性は大きく改善されます。
専用ソフトの設定やパーツ交換で静音性を強化する
ゲーミングPCでは、ファンの回転数を細かく制御できるBIOS設定や専用アプリが充実しています。
マザーボードの「Smart Fan Control」機能を使えば、温度に応じてファンの回転を自動調整することが可能です。
また、静音モデルのファンや水冷クーラーを導入するのも効果的です。
ケース内部に貼り付ける静音パッドはあまり効果が得られません。
静音ファンは現在使用しているファンと同じサイズのものを選べばOKで、静音志向のブランド(Noctua、be quiet!など)は、性能と静音性の両立で評価が高いです。
静音ファンへの交換は、ドライバーがあれば簡単に自分でできるので、ハードルは低いです。
他にも「Silent Mode」や「Balanced Mode」などのプロファイルを活用すれば、用途に合わせた調整も簡単に行えますが、ゲーミングPCの深い知識がない方においてはハードルが高くなります。
まとめ:ゲーミングPCのトラブルは原因の解明がカギ
ゲーミングPCで起きるトラブルは、様々な原因が重なって生じます。
この症状はこれが原因であると一概には言えないので、なぜそうなっているかを解明することが解決へのカギとなります。
エラーコードの確認、何をしてから症状が発生したのか、接続など基本的要素の確認を1つ1つ確認しながら解決していきましょう。
このようなトラブルを解決していくと、パソコンの知識が自然に身についていくので、トラブルはとても勉強になりますが、ストレスが溜まるのでできれば避けたい問題ですね。

